インドの最新事情と一人旅の際の危険について

私はこれまで29回インドに行くチャンスがあり、大都市ジャイプルに住んだ経験をもちます。
インドに関する本も多数出版しました。そして、基本的にはインドが好きです。
食や芸術といった文化面はどの国よりインドは豊かです。
しかし、治安面で昨今インドの情勢には目を覆いたくなるものがあります。

今のような状態のインドには女性は行ってほしくありません。女性一人旅は無謀です。

インドで起こっているレイプ事件

インドでは、被害届が出されていないレイプ事件がかなりの数あると推定されます。

数年前、デリー郊外で起こった事件を覚えている人も多いでしょう。医学部に通う女子学生がボーイフレンドとデート中、バスの中で集団レイプされ、バスの外に放り出され死亡した事件です。

その詳細をお伝えすると、2012年、12月、理学療法を学ぶ23歳の女性が、インドの首都デリーでバスに婚約中のボーイフレンドと一緒に乗っていました。すると、6人の男たちがバスのドアをロックし、数時間にわたり鉄の棒を使って、女性に強姦や残虐な行為を続けたのです。男たちは裸のままの女性をバスの外に放り投げ、その後、彼女は亡くなりました。

この事件をきっかけにインド国内では大規模な抗議デモが展開されました。私はその時、インドに滞在中で、強い怒りとショックで震えが止まりませんでした。

この事件はインド社会を震撼させました。事件の背景には低カーストの若者が持つ女性蔑視、高カースト者への恨みや怒り、自由恋愛をしている彼女と彼へのあこがれ、嫉妬などが爆発したものと私は捉えています。

大議論が巻き起こり、2013年9月、インド政府は異例の速さでレイプ者を死刑にする法律を定めました。しかし、止まるどころか、レイプ事件は未だに頻繁に起こっています。

最近ではインド人女性だけでなく、外国人女性観光者もターゲットになっています。自分の夫と一緒にいた外国人女性観光客すら、レイプされたのです。

インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)が旅行会社1200社を対象に実施した調査の結果、 旅行者が激減しています。以下、レイプ事件を資料がある限り、列挙します。

・2019/3.20
12歳少女、兄弟3人とおじにレイプされ殺害される
インド中部マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州サガル(Sagar)の警察当局は20日、12歳の少女をレイプの末に殺害し、鎌で頭部を切断して遺体を遺棄したとして少女の兄弟2人とおじを逮捕。

・2019/3/7
レイプ後に火付けられた女性、犯人を炎に引きずり込み殺害。
インド東部コルカタ郊外で4日、レイプされた後に生きたまま火を付けられた女性(35)が、犯人の男(42)を炎の中に引きずり込んで殺害した。女性は顔と両手にやけどを負った一方、犯人の男は病院に搬送されたが、やけどにより死亡した。女性が警察に語ったところによると、夫を亡くした女性はコルカタ北方の自宅で娘たちと暮らしていたが、娘たちが外出している際、男に襲われレイプされた。その後、体に灯油をかけられ火を付けられたという。

・2018/12.15
米航空機内で女性に性的暴行、インド人男に禁錮9年 隣には妻が着席。
米ミシガン州デトロイト(Detroit)の裁判所は13日、飛行機内で隣席に座っていた女性に性的暴行を加えたインド人の男に、禁錮9年の有罪判決を言い渡した。

・2018.6.3
インドの警察は2日、同国北部のヒマラヤ山麓にあり、外国人旅行者に人気の観光地であるマナリ(Manali)の付近で、タクシー運転手の男が日本人女性旅行者(30)に対する性的暴行と脅迫の容疑で逮捕されたと明らかにした。
被害女性は、先月30日にマナリから隣町に行くためタクシーを拾ったと証言している。警察によれば、その後女性は近くの森の人けのない場所に連れて行かれ、車内で性的暴行を受けた。現地警察署長のAFPへの説明によると、被害女性は、抵抗すれば仲間を呼んで集団で性的暴行を加えると運転手に脅され、従わされたと話している。  

・2015/10/17
2歳半と5歳女児に性的暴行

・2015/10/13
4歳少女に性的暴行の主犯格逮捕

・2015/3/6
インドで群衆がレイプ犯を撲殺、刑務所襲って引きずり出す。

・2015/2
知的障害のネパール人女性(28)を性的暴行し殺害、遺体切断

・2015/2/9
日本人女性(20歳。学生)がまた性的被害。
場所はインド北部ラジャスタン(Rajasthan)州の州都、ジャイプル(Jaipur)

・2015/1/3
邦人女性(22歳。AP通信によると現地滞在の研究者)インドで1か月監禁され集団暴行被害。
女性は在コルカタ日本総領事館などと連絡を取って逃げ脱出し被害届をだす。インド人男性5人逮捕。

・2014/12/3
「痴漢撃退」の印姉妹に疑惑の目、別の男性に暴行する動画公開

・2014/11/6
娘をレイプした隣人を拷問・殺害し自首、「メッセージ」だと父親語る。

・2014/7/11
インドで信じられない判決、強姦犯の妹を被害者の夫に強姦させる。

・2014/6/12
夫の釈放求めたインド女性、警察署内で集団レイプされる。

・2014/6/5
集団レイプに抵抗した女性射殺。

・2014/5/30
レイプ被害者の母親、加害者の父親らに暴行受け重体。

・2014/5/30
インド北部ウッタル・プラデーシュ州で14歳と16歳の少女が集団レイプされ、木につるされて殺害されたとみられる事件。

・2014/1/23
恋人と密会した女性に「集団レイプの刑」、インド村議会。

・2014/1/16
デンマーク女性集団レイプ事件、容疑者2人を拘束。道に迷ったデンマーク人の女性観光客(51)が集団レイプの被害に遭った事件で、地元警察は15日、ホームレスの男2人を拘束。

・2014/1/6
タクシー車内で子連れポーランド女性レイプ被害。被害者の女性はインド北部ウッタル・プラデーシュ(Uttar Pradesh)州マトゥラー(Mathura)在住で、150キロ離れた首都ニューデリー(New Delhi)に向かうため、娘を連れてマトゥラーの主要道路でタクシーを拾った。しかし、車内で薬物の入ったスプレーを顔にかけられ、意識を失う。

・2014/1/2
2度にわたり集団レイプされた上、体に火を付けられた少女(16才)12月31日夜、死亡した。

・2013/11/19
インドで1歳3カ月の女の子が集団レイプ被害。

・2013/10/23
インド、レイプした少女焼き殺す 男3人逃亡

・2013/8/23
インド最大の商業都市ムンバイ(Mumbai)中心部で22日夜、雑誌取材中の女性カメラマン(23)が男5人に集団レイプされる事件が起きた。
警察によると、この女性カメラマンは男性の同僚1人を伴い、高級住宅地シャクティーミル(Shakti Mill)地区で雑誌の記事に使うため古い建物の写真を撮影していた。襲ってきた男たちは、同僚の男性を殴って縛り上げ、それから女性を暴行したという。現場は同地区でも人通りの少ない場所だという。 

・2013/3
インドを自転車で野宿旅行していたスイス人夫婦の妻がインド人に集団レイプされ、20人を逮捕。

以上、ほんの一部を箇条書きするだけでも胸が悪くなるほど、頻繁に、到る所で、誰といようとも起きているのがインドのレイプ事件です。


間違ったメッセージを与えない工夫

残念ながら、政府の安全情報ではそこまでは教えてくれません。
60代の私でさえ、インド滞在中一人で外出する時は、濃いめのサングラスをかけていたほどです。
それは、男性と目が合わないようにするためです。
目が合うと、こちらが思ってもいないメッセージをインド人男性に与えてしまったり、あるいはインド人男性が受け取ることを恐れたからです。


まとめ

インドは1990年の経済改革から30年の間に、他の国が200年かかった発展を一挙にしています。そこに矛盾が山ほど出てきています。たとえば、トイレがないのにTVとスマホは持っている、固定電話を持たない状況からいきなりスマホへと一足飛び、IT関係で億万長者になった成功者のニュース、テレビで流される豊かな生活の情報、テレビの中だけで描かれる自由恋愛へのあこがれ等々。

筆者は「インドでは一人ひとりの命が大切されていない」とずっと感じてきました。
人口が多いからそうなるのではありません。重い命とそうでない命があるのです。
女性、外国人、低カースト出身者、障害者、すなわち社会的弱者の命や人権が軽んじられています。

最後に、インドでレイプ事件が多発する要因として、「性の抑圧」があると思います。
人間が自由に恋愛することが許されていない大部分のインド人にとって、性に関することは闇で、あこがれの対象です。

日常生活で垣間見るインド男性のギラギラした視線は、他の民主国家では見ることはありません。
やはり、社会がアンバランスであることの表れでしょう。

自分が社会的弱者の範疇に入る人は、今一度インド旅行をすることの危険さを認識してください。
大好きなインドの事をこのように書くことは、筆者として悲しいです。

最後まで読んで、それでも一人旅でインドに行く人は、必ず海外旅行保険をかけていってください。
掛けずに行くことは、大変危険で、無謀です!!

 

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