香港と言えば、細い鉛筆みたいなビルが空にたくさん伸びていて空が埋め尽くされていて、空を見上げると空はあまり見えずに首が痛くなる…そんな都市ですが地震がきたら大丈夫かな?と思うことがあるのですが、香港に地震リスクは無いのでしょうか?今回は香港の地震事情・そして香港の高層建物事情についてまとめてみました。
目次
香港の地震事情:香港は高層ビル天国
香港の建物は密集して細長く、空に伸びています。香港は、ビクトリアハーバーの両岸に立つ484メートルのInternational Commerce Centre、416メートルのInternational Finance Centreから始まって高層オフィスビルが多いです。そして、日本のタワーマンションのような50階建を超える高層マンションも隙間なくというほどに林立しています。そして、香港の高層建物の特徴は、日本のビルよりも太さが細く上に長いビルが多いです。日本では、地震に備えて耐震などの基準が厳しいため香港のようなビルの建設は難しいです。香港は東京の高層ビル街と比べても高層ビルの多い、高層ビルジャングルです。
香港の地震事情:アジアは地震が多い国が多い
日本人が香港のビルを見ると「わー、高い。地震が来たら大丈夫なのかな?」そんな心配をする人が多いです。日本はよく地震が起こる地震国(有感地震も多い)だし、日本より香港に近く飛行機なら香港まで1時間で行ける台湾も地震国で、日本に負けず劣らずの規模・回数の地震が起こっています。また、香港から地続きの中国大陸でも四川などは地震が多く、時々地震による大きな被害が起こったりしています。そして、同じアジアレベルで比べるとインド・パキスタンあたりも地震が多く、時々大きな被害がニュースなどで報じられています。
というように、アジアは比較的地震が多い国や地域が多いです。
香港の地震頻度と被害
細く高いビルが多い香港、香港はどのくらいの頻度で地震が起こりどんな被害が出ているのかを見てみましょう。
香港の地震の頻度
1905年以降Hong Kong Observatory(香港天文台)が地震観測などを初めて以来2017年まで香港の有感地震の発生回数はたった179回ほどで、1979年以降の短周期地震計ネットワークが稼働してからだと香港の有感地震発生件数は70回ほどとなります。数字だけで単純計算すると香港では1年に2度ほどの有感地震が起こっている計算になります。日本ではひどい時には1日に数度の有感地震が起こる事もあるので、地震国日本人としてはその少なさに驚きます。
香港の地震の被害
香港天文台では地震に対して、日本の気象庁の基準とは違う改正メルカリ震度階級(Modified Mercalli Scale)という基準を使用しています。
改正メルカリ震度階級
I きわめて弱い ほとんどの人は揺れを感じない。
Ⅱ 非常に弱い 高い建物の上層階におり、安静にしている状態の人が揺れを感じる。
Ⅲ 弱い 高い建物の上層階にいる多くの人が揺れを感じる。駐車されている自動車がわずかに揺れる。
Ⅳ やや弱い 屋内にいる人の多くが揺れを感じる。眠っている人の一部が目を覚ます。食器棚がカタカタと揺れる。
Ⅴ やや弱い 多くの人が揺れを感じる。眠っている人の多くが目を覚ます。食器棚から食器が滑り落ちる。
Ⅵ 強い ほぼすべての人が揺れを感じる。多くの人が不安を感じ、まっすぐに歩くことができない。本棚から本が滑り落ちる。
Ⅶ 非常に強い 立っていることが難しい。軽い家具が転倒し、造りの弱い建造物が一部損壊する。自動車を運転している人の多くが揺れを感じる。
Ⅷ 極めて強い 重い家具が転倒し、多くの建造物が一部損壊する。
Ⅸ 破壊的 多くの人が混乱に陥る。頑丈な建造物が一部損壊し、多くの建造物が半壊する。
Ⅹ 破滅的 頑丈な建造物が半壊し、多くの建造物が全壊する。
Ⅺ 壊滅的 頑丈な建造物が全壊し、橋が崩落する。
Ⅻ 絶望的 あらゆるものが崩壊する。
香港で比較的近年起こった地震で一番大きかった地震が1994年の台湾海峡の南を震源地とする地震でしたが、香港の多くの地域での被害状況はⅤかⅥでした。けが人・死者ともゼロです。香港の地震で検索すると25年も前のけが人もいないような地震が被害として出てくるほど香港は地震の無い地なのです。
更にHong Kong Observatory(香港天文台)が観測を開始した1905年からのデータだと、香港での地震による怪我や死亡などの人的被害の報告は1件もありません。つまりここ100年にも渡る間、香港では地震による人への被害はでていないということになります。ということで、香港は極めて自身の少ない、また地震で被害の出ない地と言えます。
地震は少ない香港・建物に関して気をつけるべき事?
香港は地震がほとんど起こらず、高く細いビルでも耐震が日本ほどしっかりしてなくても大丈夫です。では、香港では建物に関してどんなことに気をつけなくてはいけないのかみてみましょう。
香港で建物に関して気をつけるべき事①台風の脅威
近年日本でも大きな台風が来て、家の一部が壊れたり家が半壊・全壊してしまうという事が起きていますが、香港でも台風の脅威は目を見張るものがあります。2018年日本は台風21号で結構大きな被害が出ましたが、香港ではその次の22号が直撃して、警戒レベルもかなりの物でしたが、去った後古くない高いビルの外壁もボロボロになっていました。その高層ビルにいてもかなり怖かったものと思いますが、その剥がれたビルの外壁が飛んできて当たったり、下に落ちて通行人に当たったりと考えるとゾッとします。香港も比較的台風がよく来て、強く当たることもあるので、香港の高層ビル、台風の時は注意する必要があります。
香港で建物に関して気をつけるべき事②古いビルには近づかない
香港には古い建物でもかなり高層の建物があります。問題は老朽化した建物です。時々高い建物の外壁が落下する場合があります。それも特になにがあるわけでもない時にいきなり落下する事故というのが起こります。そして、毎年と言っていいほど外壁の落下による死亡事故も起きています。なので、古いビルのすぐ側はなるべく歩かないようにしましょう。また、地震では揺れないから落ちないかもしれない看板が落下する事故も少なくありません。日本ほどしっかりした基準や検査が無いせいか、錆びたりしていて不安定な看板もそのままになっている場合があります。なので、強い風の日は看板を含む落下物に注意する必要があります。
香港は地震の脅威は少ない
香港は、地震の多いアジアの中でも珍しい地震の少ない国で、ここ数十年で見ても地震による大きな被害は起きていなく、特に地震による人的被害は起こっていません。なので、香港は細く高いビルが多い街ですが地震が起こって建物が恐怖にさらされる可能性は今のところ低いでしょう。ですが、香港は秋の台風シーズンなどには時に日本よりも強い台風が直撃することがあり、台風が直撃するとビルの外壁などにダメージを受ける場合があります。また、香港は古い高い建物もありますが、老朽化の進んでいるものもあり、外壁が落下するという事故が時に起こります。歩道を歩く際などに、古いビルのすぐ近くを歩くのは極力避けた方がいいと思います。