インドネシアのジャワ島内陸部にある宗教建築「ボロブドゥール」と「プランバナン」は、世界三大仏教遺跡と1つに言われており、ユネスコ世界遺産に登録されております。インドネシアというとバリ島などのリゾート地を思い浮かべる方も多いかと思いますが、この壮大な石造遺跡にも毎年多くの観光客が訪れており、この不思議な魅力に憑りつかれて居ります。そんなインドネシアを代表する2つの宗教遺跡を一人旅で満喫する方法をご紹介いたします。
目次
旅の前に
インドネシアの通貨はルピアです。ユーロのような統一通貨ではないため、複数の国を周遊される場合は、両替レートの影響を受けないよう、所持する現金は最低限にし、あとはクレジットカードを使うことをおすすめします。2つの遺跡を巡る拠点となるジョグジャカルタは観光地ですので、大半の店でクレジットカードが使えます。ただ、外国人観光客を狙った盗難事件も起こっているため、海外旅行保険付きのクレジットカードがおすすめです。また、外務省の渡航情報によると、インドネシア全域の危険レベル1「十分に注意してください」となっているため、特に一人旅の場合は渡航前に必ず海外旅行保険に加入してください。
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効率よく周るにはチャーター車が一番
2つの遺跡を結ぶ交通機関はありません。そのため、通常はバスを乗り継いでいくことになりますが、バスは時間が不正確なうえ、スリやひったくりもあります。おすすめはチャーター車を使うことです。観光の拠点となるジャグジャカルタではたくさんのツアー会社があるので、そこで車をチャーターすると良いでしょう。ツアーは1人からでも受けつけておりますので、一人旅でも問題ありません。自分でツアー会社に申し込むのも良いですが、事前にホテルで予約しておく良いでしょう。ホテルまで送り迎えしてくれるので安心安全です。インドネシアは物価が安いため、思ったほど料金は掛かりません。時間を節約したい場合はぜひ利用しましょう。要所だけ絞れば2つの遺跡を1日で周ることもできます。
おすすめツアー会社
ツアー会社:Great Tour
料金:Rp.125,000(遺跡の入場料は別料金)
日の出ツアーに参加してみよう
チャーター車で周るならぜひボロブドゥールの「日の出ツアー」に申し込みましょう。ボロブドゥールでは日の出を見る人たちのために、早朝から施設を開放しております。バスだと早朝の便は出ておりません。ツアーの場合は早朝4時頃に出発し、5時頃に現地に着きます。早朝に起きるのが辛いという場合は、遺跡のすぐ隣にある「マノハラホテル」を利用すると良いでしょう。一人旅でも安心して利用できます。朝陽を浴びた遺跡はとても幻想的です。景色は天候に左右されてしまう場合もありますが、早起きした分を他のインドネシアの観光スポットを見る時間にあてがえば、とても効率よく周れるでしょう。
ジャングルに潜むボロブドゥールの幻想的な外観
緑が囲む通路を進むと、突如巨大なボロブドゥール遺跡が姿を現します。直径約120メートルにもなる正方形の祭壇、頂上佇む巨大なストゥーパの姿が見え、その大きさに圧倒されます。遺跡は約200万個にもなる石が何段にも積み上げられ、壁にはレリーフ(浮き彫り)とカウイ文字と呼ばれる当時の文字が刻まれています。
無の世界を表すストゥーパ群と幸福の仏像
ボロブドゥール遺跡の特徴の1つに釣り鐘に似た形状をした奇怪なオブジェ「ストゥーパ」があります。遺跡内の階段を登っていくと、突然視界が開け、大小たくさんのストゥーパが姿を現します。各々の層で窓の形状が異なっており、これは俗世間の人々の様々な煩悩を表しており、やがて最上層の窓のない大ストゥーパに辿り着きます。とても奇妙な風景ですが、これは人々の煩悩が「無の世界」へと収束していく様を表現しています。同じ層の中に幸福の釈迦阿弥陀仏像があり、仏像の右手薬指に触れると願いが叶うと言われております。
遺跡を囲むレリーフと古代文字
遺跡の壁には数え切れないほどのレリーフと古代文字があります。総延長は5キロメートルにもなります。そしてこれらレリーフには1万人以上の人や動物、古代文字が描かれております。その膨大なレリーフの数々は圧巻です。これらレリーフは遺跡の第一回廊から第四回廊にびっしりと描かれており、まるで芸術の森の中に迷い込んだかのような錯覚を受けます。特に必見なのは第一回廊です。ブッダの半生を表現した物語が描かれており、ブッダが厳しい修行に耐える図、悟りを開く瞬間の図などがあります。全てを見て周るには1日では足りませんので、時間のない方は第一回廊だけでも見ていきましょう。
ヒンドゥー教と仏教、二つの宗教文化が混在するプランバナン
ボロブドゥールの日の出ツアーに参加したあとは、そのままプランバナンに行くと良いでしょう。プランバナンもインドネシアを代表する宗教遺跡です。ここはヒンドゥー教と仏教、二つの寺院が同じ敷地内に隣り合う遺跡です。昔より互いの宗教を尊重しながら教徒同士で交流があったことが良く分かります。主要な見どころが集まっているのが「プランバナン寺院史跡公園」で、その周辺にもいくつもの寺院があります。園内の遺跡を見て周るには少なくとも2時間以上は掛かります。一人旅であればレンタサイクルで周ることをおすすめします。自分のペースでヒンドゥー教と仏教、二つの寺院の違いを感じてください。ここから両宗教の寺院を1つずつご紹介していきます。
ロロ・ジョングラン寺院
史跡公園内を入るとすぐに目に飛び込んでくるのが、空高く伸びるようにそびえ立つ「ロロ・ジョングラン寺院」です。インドネシアのヒンドゥー教寺院の中では最大規模の寺院になります。中心に立つ堂がシヴァ神殿で、壁には古代インドの有名な叙事詩ラーマヤナの物語を基調としたレリーフが精巧に彫られております。寺院全体は四方にシヴァ神に関連する象が祀られております。シヴァ神殿の左右にはそれぞれブラフマ神殿、ヴィシュヌ神殿が立ち、その向かいには3つのヴァーハナ堂が立っております。ヴァーハナ堂には神の乗り物とされている牡牛、白馬、ガルーダが互いに対峙するように祀られております。
セウ寺院
史跡公園の北側にある「セウ寺院」は、プランバナンを代表する仏教寺院です。主堂の前には武器を持った威圧的な像「守護神クベラ」が立っています。主堂内は古代ギリシャ神殿を連想させる柱があり、壁にはまるでイスラム建築のような装飾が彫られております。様々な文化が融合したように思えるこの建物は、そのルーツを辿ってみたくなってきます。
遺跡巡りのあとはジョグジャカルタ市内を散策しよう
早朝から遺跡巡りをすれば、午後からはジョグジャカルタ市内を散策することもできます。遺跡も良いですが、ジョグジャカルタはインドネシアの主要都市の1つで、様々な文化の名残を残す古都です。街は遺跡観光と併せて訪れた観光客で賑わっており、たくさんの屋台や市場があります。また地元の伝統芸能も鑑賞できます。物価もとても安いのでお金のこと気にせずに済むでしょう。治安も良く、一人旅でも安心して周ることができます。
まるで迷宮!ブリンハルジョ市場
「ブリンハルジョ市場」は朝から晩まで多くの買い物客で賑わう地元市場です。一度足を踏み入れればそこはまさに迷宮です。食料、衣類、家電製品、食堂、骨董品まで、あらゆる物がこの市場に集まっています。どこかレトロな感じと物珍しさとが体験できる大変面白いスポットです。全て部見て周ると2時間以上は掛かりますが、時間を忘れて楽しむことができます。
地元料理を堪能しよう
ジョグジャカルタではグルメ通も唸らせる美味しい料理を味わうことができます。中でもおすすめはジョグジャカルタ名物の「ナシ・グドゥッ」です。日本で言うチャーハンのような位置づけで地元のソウルフードです。ご飯の上に鶏肉や卵などを乗せて食べます。ナシ・グドゥッの専門店が多く並ぶ「ジャラン・ウィジラン通り」で食べると良いでしょう。
伝統芸能を鑑賞しよう
古都ジョグジャカルタでは、連日のように伝統芸能を鑑賞できます。王朝時代より受け継がれてきた郷愁漂うジャワの影絵芝居劇「ワヤン・クリッ」やきらびやかな衣装を纏った踊り子たちが、ラーマヤナの物語を表現する「ラーマヤナ舞踊」などがあります。これらをインドネシアの伝統音楽「ガムラン」がエキゾチックに演出してくれます。これらの伝統芸能はジョグジャカルタ市内の屋外ステージや劇場で鑑賞できます。おすすめは、レストランの食事に演劇鑑賞が付いた「プラウィサタ劇場」です。伝統のラーマヤナ舞踊と現代ミュージカル的を融合させた「ガムランミュージカル」は必見です。
まとめ
インドネシアを代表する宗教遺跡ボロブドゥールとプランバナンは、圧巻のスケールを誇り、とても見応えがあります。また拠点となるジョグジャカルタも併せて周れば大変充実した時間を過ごすことができるでしょう。日本からのアクセスも良く、短期間の旅行も可能です。また治安も良いので、一人旅でも安心して旅行することができる。ぜひインドネシアで異国のロマンに触れてみてはいかがでしょうか。
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